マンション、ビルなどの大規模修繕工事は、一度やったら終わりではありません。老朽化に伴い、先々のメンテナンスコストは上がっていきます。
大切なのは、そこを見越したうえで、『今修繕するべきこと』と『先々修繕するべきこと』を切り分ける必要があります。
そして、その前提となるのは、建物の現状を正確に把握することに他なりません。正しく調査、診断することにより、いつ、どこにコストをかけるのかといった計画が立てられ、また、不要な工事をする必要がなくなり、限りのある資金を必要な個所に使うことができるのです。
01.目視検査
建物の外観状況を観察し、ひび割れ、浮き、欠損、爆裂、シーリング劣化、外壁や屋上の劣化状況などを把握します。人の目による調査のため、見落としが発生しないよう、可能な限り複数のスタッフで調査を行います。
屋上防水の劣化状況の確認
塔屋や屋上工作物等の錆や劣化確認
外壁クラック等の確認
タイルの割れや浮き状況の部分的確認
シーリングの弾性の有無、切れや痩せ、
コケの付着等劣化状況の確認
外壁・天井の塗膜の浮き等の
劣化状況の確認
パイプスペース扉、鉄骨階段等の
鉄部塗装のチョーキング現象、錆の確認
床モルタル部のクラック、
既存床シートの劣化状況の確認等
02.打診検査
ひび割れの幅の延べ㎡数を確認したり、テストハンマーなどによる打診を行い、モルタル、タイルの浮きの位置や延べ㎡数を確認します。
調査前にテスト検査を行い、判断ラインを確認し、判断基準を明確にしたうえで検査に臨みます。
03.付着力試験
目視や打診で問題が無い壁面も付着力試験を行い、塗面、タイル、シーリングの付着力を測定します。
見た目には異常がなくても、付着力試験で既定の数値に満たなかった場合は修繕が必要になります。
04.中性化テスト
コンクリートの一部を採取し、試薬を散布しpH値を確認します。従来、コンクリートはアルカリ性のため内部の鉄筋が腐食することはありませんが、大気中の二酸化炭素によってpHが下がると、鉄筋が腐食。それにより、構造上の性能低下につながるため、重要な試験の一つです。