マンションの改修工事
マンションの管理を行うにあたって、修繕工事に加えて重要になって来るのが改修工事です。建物の設備や性能は、築年数が経過するとどうしても最新のものと比べて劣ってきてしまいます。
今回は修繕工事と改修工事の違いから、改修の項目にはどのようなものがあるのかについてご紹介していきます。
修繕と改修の違い
マンションの管理において重要になってくる二つですが、それぞれ指す意味合いが違います。ここではその違いを説明していきます。
修繕工事
「修繕」とは、劣化、不具合が発生した建物、建物の一部、設備、部材などに対して修理や取り替えなどの処置を行って、性能や機能を支障なく利用できる状態にまで回復させることを言います。回復の度合いは応急処置的なレベルのものではなく、建物の建設当初の水準まで戻すことが目標となります。 計画修繕とは、「修繕」を一定の年数ごとに計画的に行い、劣化や不具合が発生したときにその都度行う場合は、「補修」または「小修繕」と呼んで区別されます。
改修工事
高経年マンションでは、新築マンションと比較し、性能・機能面で旧式化し、資産価値が低下することにもなりかねません。高経年マンションの質及び価値を持続させていくためには、「修繕」による性能の回復に加え、現在の居住水準・生活水準に見合うよう、マンションの性能を向上させ、住みよいマンションにしていくことが重要です。一般的には、性能・機能をグレードアップさせる工事のことを「改良」といい、「修繕」及び「改良」により建物全体の性能を改善する工事のことを「改修」といいます。 「修繕」はマンションの性能を維持し、以前の状態に回復するために行いますが、「改修」は社会や時代の変化によって向上していく住環境の水準に合わせて、初期性能よりも高い性能や機能、居住性を獲得することを目指すものです。
改修工事の内容
それでは具体的に改修工事にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。
耐震改修
耐震性能の改善は人命保護の観点から最も重要な検討課題であると言えます。マンションの耐震性能は、建設当時の耐震基準が現行の基準に比べて劣っている場合や、躯体・材料の劣化、火災・地震等 の被災による構造の劣化等により建設時に保有していた初期性能よりも低下して現われている場合などがあります。このため、建物の耐震性能を改善するためには、建物躯体の劣化修繕工事を計画的に 実施することを前提として、建物の耐震診断を行い、耐震性能が不足する場合は耐震補強を行うことが重要となります。
防犯性能の改修
建物に侵入して行われる犯罪は、近年急速に増加しており、特に共同住宅(マンション)での被害が深刻化しており、防犯性能を向上させることが重要となってきています。防犯は、マンションの一部だけに対策を講じても効果は大きくありません。マンションの建物及び敷地内全体について、不審者の侵入の防止や犯罪抑止のための対策を総合的に講じることが望まれます。
省エネ化改修
地球環境問題に対する関心が高まっており、省エネによりエネルギーの効率的利用を図ることが重要な課題となってきています。マンションにおいて省エネを実現するにあたっては、第1ステップとして、建物躯体の劣化修繕工事を計画的に実施することを前提として、外壁の外断熱化、屋根の外断熱化、サッシの2重化等により建物の断熱性能を高めることが基本になります。また、ソーラー発電により集めた電気を屋外灯、門灯等の共用部分の照明などに利用することが考えられます。ソーラー発電は屋根の上に設置した太陽電池(太陽の光エネルギーを吸収して電気に変えるエネルギー変換のことをいいます。)で電気を発電し、発電した直流をパワーコンディショナ(太陽電池で発電した電力を直流から交流 に変換する装置)に通して分電盤に接続することにより、電力会社と同じ交流に変換し電気を供給します。システム容量(太陽電池モジュールの公称最大出力×枚数)は設置方位、面数、傾斜にもよりますが、5kW・10 kW 程度まで可能です。また、発電量は、地域や太陽電池の方位、傾斜角度等により異なりますが、太陽電池モジュール 1kWシステム当たり年間約 1,000kWh程度の発電が期待できます。
改修工事に確認申請は必要?
大規模修繕等の計画修繕に伴う改修工事については、大規模の修繕又は模様替えにあたることは少ないと考えられますが(ただし、昇降機を取り替える場合等については建築設備としての確認申請を必要とします。)、改良工事のうち、新築(集会所・コミ ュニティーセンター等の共用付属施設の新築等)、増築(居室増築、バルコニーの屋内化、エレベーター等の共用部分の増築等)、築造・設置(自走式立体駐車場の新築、エレベーターの設置等)については確認申請を行う必要があります。また、模様替えにあたる工事(住戸の2戸1戸 化、集会所・コミュニティーセンター等の建物内の改造、建物共用部分の改造、耐震補強等)のうち、主要構造部を過半にわたり大規模に模様替えをする場合については、同様に確認申請を必要とします。ただし、防火・準防火地域外で、増築・改築・移転に係る部分の延べ面積の合計が 10 ㎡以下の場合については、確認申請を必要としません。
詳細を知りたい方は、確認申請について詳しく述べた記事があるので、そちらをご覧ください。