大規模修繕コンサルタントを選ぶ際の選定基準

大規模修繕コンサルタント

マンション大規模修繕工事のコンサルタントとは、建物の状況を確認し、工事箇所や実施時期のアドバイスをおこなったり、施工会社を選定する際の各種支援を行い、マンション管理組合がスムーズに大規模修繕工事に関する作業を進める上で重要な役割を担っています。

大規模修繕工事を成功させるには、コンサルタント選びも大切な要素の一つです。ここでは、マンションで大規模修繕工事を行う際のコンサルタントの役割と選び方について解説します。

目次

大規模修繕コンサルタントとは

修繕工事の費用は適切なのか、本当に工事を行うべきなのかなど、専門知識のない管理組合にとって大規模修繕工事はさまざまな悩みを生み出すイベント。

マンションの大規模修繕をスムーズに行えるように、専門的な知識を用いて建物の管理組合をサポートするのが、大規模修繕コンサルタントです。適切な修繕計画の提案、管理組合と相性の良い施工業者の選定や、工事の管理を行うなど、コンサルタントがサポートする内容は多岐に渡ります。

大規模修繕コンサルタントの役割

大規模修繕工事におけるコンサルタント業務は主に以下の3つです。

建物診断

「そもそも大規模修繕工事を行う必要があるのか」を、建物の劣化状況を確認して判断します。大規模修繕工事を計画するにあたって「どこをいつ修繕すればいい?」「どこが劣化してるの?」などを把握するため、まず建物全体の調査を行います。この調査で調べた内容をもとに、大規模修繕工事の工事内容を検討するのです。

施工会社選定

見積もりや施工会社の実績・能力から、最適な施工会社を選定します。施工会社の選定方式には「責任施工方式」「設計監理方式」「プロポーザル方式」などさまざまな手法があります。しかし、建築の専門用語や工事の仕様、適正価格について一般の方が判断するのは、極めて困難です。ここで、コンサルタントの登場です。最適な施工会社を選定するため管理組合へアドバイスをします。

設計や工事内容のチェック

大規模修繕工事における「設計業務」や「工事監理業務」もコンサルタント業務の1つ。大規模修繕工事を行うにあたって、工事内容や仕様などの「設計」を行い、設計通りにきちんと工事が行われているかをチェックする「監理」の業務です。

コンサルタントの選定基準

大規模修繕工事のコンサルタントの選び方では、実際にコンサルタントを選ぶ際には、どのようなポイントを見ればいいのでしょうか?ここでは6つのポイントに分けて解説していきます。

業務範囲

大規模修繕工事のコンサルタントを依頼するにあたり、まず管理組合としてどのようなスタンスで付き合うのか?も重要なポイントです。

「管理組合が主導となって行うつもりだが専門知識がないので適切な金額・工事かをアドバイスしてほしい」と思う管理組合、また「時間がないので自分たちの代わりにいろいろやってほしい。できればお任せしたい」という管理組合もあります。

ですがここで気を付けたいのが「お任せしたい」と思う管理組合です。「うちにお任せしてくれればなんでもやります」というコンサルタントもいますが、見えないところで施工会社と癒着して合い見積もりに参加する業者に談合させるようなケースもあります。「お任せするには一定のリスクがある」ということは覚えておきましょう。

方針の理解度

マンション管理組合がマンションをどう維持管理していくのかの方針も重要です。例えば、「建物の機能が維持できればそれでいい」と考えるのか、「常にベストコンディションを保っていたい」と考えるのか等、建物の維持管理についての管理組合の方針を理解し、実践できるコンサルタントに依頼できるといいでしょう。

コンサルタントの中には「自身の得意なやり方を提案する」タイプもいますが、「組合の考えを汲んで提案する」タイプとがいます。施工会社選定方法のメリット・デメリットもきちんと説明してくれるかどうかも重要なポイントです。

実績

大規模修繕工事の実績がどれだけあるのか?も確認しておきたいところでしょう。

ここで注意したいのが、「これまでに全部で何件?」といった実績数の確認だけでなく、お住まいのマンションと類似したマンションや似たようなケースの実績についても確認しておきましょう。タワーマンションの実績はどれだけあるのか?外断熱のマンションの実績はあるのか?次回、大規模修繕工事までの期間を伸長したいが、高耐久化の工事の実績はあるのか?といった風に、お住まいのマンションのタイプに照らし合わせて確認しましょう。

知識度

大規模修繕工事のコンサルティングには工事の知識だけではなく、マンション管理組合運営の知識も不可欠です。どれだけ建築の知識があったとしても、管理組合の運営のルールや経験がしっかりと身についていないと、組合の運営に照らした際に、支障をきたしてしまうのです。建築と組合運営とそれぞれのスペシャリストが連携しながら得意分野を担当する、というかたちが理想的です。

<h3>大規模修繕の実施ありきではないか</h3>

劣化診断をお願いした場合なら、それが「大規模修繕工事の実施ありきの劣化診断になっていないか?」ということも今後のコンサルティング業務を依頼するかどうかのポイントです。

「工事実施時期を適切に判断する」より、「長期修繕計画に沿って工事実施を後押しする」場合が多いため注意が必要です。建物の劣化診断の結果、工事を先延ばしするという選択肢もあるかもしれません。とはいえ、施工会社選定や工事品質チェックなどの後から受注できるであろう業務を考えると、コンサルタントから「工事の先送りも可能」と教えてくれないケースもあります。築10年を超えたマンションは劣化しているのは物理的に当然ですので、「早々に工事を行う必要があるのか?」「部分的な補修でも問題ないのか?」を第三者として客観的に報告をしてくれるコンサルタントに依頼しましょう。

公平・中立性

大規模修繕工事のコンサルタンティング業務を行うのは、主に、設計事務所、マンション管理士事務所、建物調査会社などです。そのマンションや大規模修繕工事そのものに利害関係がある場合、公平性・中立性を保つのは難しいと考えた方がいいでしょう。

例えば設計監理方式で、設計者と監理者を兼ねる場合。設計者は工事を受注させる施工会社からリベートを受け取るようなケースがあります。このような関係で、その後の施工状況を客観的に厳しく指摘できるでしょうか?また、劣化診断の結果まだ大規模修繕工事を実施しなくてもいいとわかっても、設計業務を受注したいがために工事の実施を進めてくるコンサルタントもあります。

本来、管理組合の立場にたって大規模修繕工事をサポートすべきコンサルタントですが、利害関係から管理組合にとってベストな提案ができなくなる可能性があります。

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