固定資産税の減税
築年数の長いマンションが急増傾向にある現在、マンションの寿命を延ばす大規模修繕工事の必要性が上がってきています。政府・与党は、大規模修繕の普及を目指し、大規模修繕を実施したマンションに対する特例措置の創設の決定を下しました。この記事では、大規模修繕実施後の固定資産税の減税措置について、詳しく説明していきます。
老朽化マンションの増加
老朽化マンションは実際に急増しており、その管理体制が危惧されています。国土交通省の推定により、現在約116万戸ある築40年超のマンションは、10年後に約249万戸、20年後には約425万戸に急増するとされています。適切な管理がされていない場合、築40年となると住めなくなるだけでなく、人的被害の恐れが出てきます。外壁のタイルや最悪の場合崩壊につながるため、行政の代行により処理する必要の出てくるマンションもあります。
この問題を防ぐために、大規模修繕を適切に行うマンションに関しては、減税という特別措置を行うことが決定されたのです。
減税についての詳細
老朽化したマンションの修繕工事を促すため、一定の条件を満たせば、建物の固定資産税を減額するという法案が、2022年12月に閣議決定した来年度の政府税制改正の草案に盛りこまれました。対象に入る条件としては、築20年以上で10戸以上のマンションで、2回目以降の大規模修繕工事で、屋根と床の防水、外壁の塗装が含まれ、工事が2023〜24年度に完了することです。減税の割合は、大まかなものが定められており、100平方メートル分までの建物の固定資産税が6分の1~2分の1減額されます。
厳密な減税の割合は今後、自治体の条例で定められます。国土交通省は、約15年ごとに大規模修繕工事をするよう推奨していますが、2回目の工事の時期を迎えたマンションでは、管理組合の合意形成がハードルになっているという事例が多いです。居住者の高齢化が進み、積立金の引き上げが難しくなっているため、工事にかかる費用がまかなえなくなるケースも増えています。
マンション管理計画認定制度
マンションが減税対象となるためには、「マンション管理計画認定制度」に認定されている必要があります。マンション管理計画認定制度は、マンション管理適正化法が改正されてできた認定制度です。マンションの管理組合が、管理計画等を自治体に提出して、管理体制の基準を満たしていると認められれば認定を受けられます。認定後は適切な管理が保証されるため、資産価値の向上が期待されるため、固定資産税減税以外にも経済的に恩恵があります。
この制度が導入された経緯としては、固定資産税の減税と同じく、築年数の長いマンションの増加傾向対策があります。マンションの管理者、入居者共に高齢化が進み、管理体制が安定せずマンションの寿命が短くなっていく傾向にあることを防ぐために、十分な管理がされているとみなしたマンションに関しては優遇措置を取る法改正がされたというわけです。