修繕積立金とは?
まず、マンションには修繕工事というものが存在します。
これは、居住環境の改善とマンション自体の資産価値の維持・向上のためのもので、おおよその周期で工事が行われます。この工事は不可欠で有りながら、費用は多額になる場合がほとんどです。そのため、修繕工事を行うにあたって一括で徴収するということは難しいと言えるでしょう。
そこで、きたるべき修繕工事に備えて計画を立てて、修繕積立金を月々でしっかりと設定していくことが重要になります。この記事では、修繕積立金についてしっかりと理解をして、所有者と居住者がより良い修繕工事を行えるように解説していきたいと思います。
合わせて大規模修繕のことを詳しく知りたい方はこちらをお読みください。
修繕積立金は誰が管理するの?
先ほど述べたように、前提として修繕工事はマンションの資産価値を向上させるために行うものです。
そのため、マンションの外壁や屋根、エレベーターなどの共用部分を、購入者で管理組合を構成して行います。
この管理組合が修繕計画を基に修繕積立金を設定・管理するということを押さえておきましょう。
加えて、専有部分について各所有者が行うリフォーム等の費用はそこには含まれていないことも注意しましょう。
修繕積立金の積立方法
修繕積立金の積立方法には大きく分けて2種類存在します。
積立方法は着実な積立金の成立、大規模修繕の成功を大きく左右するポイントなのでしっかり押さえておきたいところです。
では、それぞれ図解とともに見ていきましょう。
1.積立均等方式
まず一つ目は、「積立均等方式」です。これは、定額で、長期にわたり修繕積立金を設定していく方式です。この場合は、累計積立額が一定で溜まっていくので安定しているのと、設定した金額から逆算して金額を設定するので目標金額が多額であっても効率的に回収することが可能です。
しかし、この方式を採用する際は、多額の資金を管理することになるため、先ほど説明した管理組合内でしっかりと話し合い、的確に進めていく慎重性が求められます。
さらにこの場合は、将来的な増額を計画に組み込んでいないにもかかわらず、あらかじめの回収額が他の方式に比べて高くなるので、途中の段階で増額をしなければならなくなると住民の理解を得るのが困難になる場合があります。
この積立均等方式は、最近になって普及し始め、国土交通省も推奨している方式です。目標の修繕積立金額に対して管理を的確に行うことで、問題が発生しにくく安定性がもたらされるので、緻密な計画のもと行うと良い修繕計画を練ることができると言えます。
2.段階増額方式
2つ目に紹介する「段階増額方式」は、修繕資金の需要に応じて修繕積立金を徴収する方式です。
この方式は、その時点で所有している人が必要な修繕費用を負担するといった形です。
この場合、先ほどの均等積立方式に対して、都度増額等の変更を行うことになるので、その度に総会を開いて決議と同意を求める必要があります。年数が経つにつれて負担額が大きくなるので、修繕積立金の額が同じでもその時に多額を用意することが不可能な場合が生じ、問題が発生するケースが多くあります。
そのため、段階増額方式をとる際は、あらかじめ修繕計画を伝える時に、段階によっては多額の負担を後に抱えるケースがあることをしっかりと説明した上で全員の合意のもと進めていきましょう。
修繕費用の変動について
修繕積立金を設定するにあたって、修繕費用が想定していたものと変動するポイントがいくつかあります。これは建物の性質によって様々ですが、予想より高い場合や安くなるケースがあります。
ここからは、そんな変動が起こるケースの要点を説明します。以下の内容を踏まえておくことで、事前に変動する可能性のある箇所を積立の計画に盛り込むことができるのでしっかりと把握しておきましょう。
仮設工事に関する変動
修繕を行う際には、仮設工事を行いますが、これは修繕費用の約2割ほどを占めています。
この仮設工事は、建物の形状によって変動が生じるポイントになります。
建物が階段状になっていたり複雑な形状のマンションになっていると、外壁作業の際に重要な足場の仮設も複雑になります。それに加えてゴンドラなどの設置も必要になるケースや施工期間が長引いてしまい、仮設工事費用が高くなる場合があります。
屋外部分の広さ
修繕費用は主に建物自体にかかるものだと捉えられがちですが、屋外の広さも抑えておきたいポイントです。というのも、建物に比べて屋外部分が広い場合、給水管や排水管が長くなり水回りの工事費用が大きくなるほか、アスファルト舗装工事などが含まれてくるのでこれらに関する修繕工事費用が高くなるケースがあります。
立地環境
建物が所在する立地環境によっても修繕費用が変動する場合があります。海岸に近いマンションの場合、塩害などによる影響で劣化の進行度合いや必要な修繕の内容が想定していたものと異なるケースがあります。また、寒冷地などでは積雪や凍結による影響で工事の際に必要な作業が増えて修繕費用が変動するといったことが生じます。
また、これらは職人や技能労働者の就労環境にも影響を与えるので、修繕費用が変動する可能性もあります。
材料の種類
当然のことですが、高品質な材料を使用した場合修繕費用は高くなります。ただし材料によっては、修繕周期を長くすることや、必要な修繕の内容を抑えたりすることができるので、ここはできる限り構想の段階で高く見積もって材料費として考えておくことをおすすめします。
また塗装工事の際には、仕上げ材のことも考えなくてはなりません。この仕上げ材にも様々な種類があり、外壁塗装やタイルの張り替えの際の材質によって変化してくるものなので、どういったイメージの外観にするかなどを考える際には必ず合わせて構想しておきたいところです。
修繕積立金の相談
以上までで説明した通り、修繕積立金の設定と一概に言っても、工事内容をしっかりと理解して何に対して費用が必要になるのかを判断した上で行う必要があります。そのため、修繕費用計画の相談だけでも専門家や業者に依頼するか、総会の際に同席してもらって進めていくことが最善の手であると言えます。
まずは、オーナーや管理組合の方々が大規模修繕についてしっかりとした知識を備えることを前提とし、プロの意見とともに作成していくことで、他の所有者の理解もスムーズに得ながら進めていくことが可能です。
まとめ
ここまで修繕積立金について説明してきましたが、まとめとして一つお伝えしたいことがあります。
誰しもが、修繕費用はなるべく抑えて行いたいと考えることだと思います。しかしながら、冒頭でも述べた通り建物の修繕は居住環境の改善と資産価値の向上を図るものです。施工自体のクオリティを下げることは極力避けたいところです。
そこで重要になってくるのが、一度に様々な修繕を行う「大規模修繕」になります。
仮設工事が一度で済むことや、工事期間や作業量をまとめて行えるので、トータルとして修繕費用がここで構想する場合よりも安く抑えることができます。
弊社では、大規模修繕の計画における相談の段階から行っておりますのでこの記事を読まれて興味を持っていただけた方は是非一度お問い合わせください。