大規模修繕の必要性
完成から10年以上が経過したマンションで実施されるのが「大規模修繕工事」です。その大規模修繕工事の実施にあたっては、高額な工事費が必要になるうえに、居住者が普段の生活をしているなかで工事が実施されるので、工事期間中は騒音や臭いなど、何かと居住者に負担がかかってしまいます。
そのようなことから、これから分譲マンションを購入する方や、既にお住まいの方の中には「そもそも何で大規模修繕工事を行うのか?」と、工事の必要性に疑問がある方もいるのではないでしょうか?そこでこの記事では、マンションで実施する大規模修繕工事の必要性についてお話ししていきます。
そもそも大規模修繕とは
建物を長持ちさせ、マンションに長く快適にお住まいになるためには定期的な修繕や改修を行い、マンションの機能や性能を維持し、向上させていくことが必要です。
大規模修繕の周期は12年が一般的です。マンションの状態に応じた適切な改修計画を立案するためには、マンションの劣化状態を把握する正確な診断が必要です。マンションでは第一回目の大規模修繕を控えた10年目が最初の診断適齢期です。大規模修繕工事の内容は回数(経年)ごとの、劣化具合や修繕具合によって変わります。
1回目の大規模修繕工事は外壁を中心に行われますが、2回目は外壁だけでなく、玄関ドアやアルミサッシなど、建物の内側の付属的な部位が劣化している部分も含めて修繕工事を行います。そのため2回目の工事は1回目よりも広範囲になることが多くなります。築後25年目から30年以上経過したころに行われる、3回目の工事では、建物ほぼ全域を対象とした大規模修繕工事が行われることが多くなります。また社会や法律などに基づき、その時代に合わせた設備や部材の更新、耐震補強工事、省エネ化などの工事が付随して行われます。計画的な大規模修繕が実施されない場合、劣化に伴い費用も増大する傾向があります。適切な診断を実施し、工事を滞りなく行い、費用負担の軽減も視野にいれた計画が必要です。
大規模修繕の内容が詳しく知りたい方は併せてこちらの記事もご覧ください。
大規模修繕の内容についての記事のリンク
大規模修繕が必要な3つの理由
ここからは、マンション大規模修繕の一般的な実施周期と工事範囲を説明したあと、工事の必要性に関する3つのポイントをご紹介します。
安全の確保
マンションの多くは鉄筋コンクリート(RC)で造られ、耐久性とともに耐火性、遮音性に優れています。しかし一見とても頑丈に見えるコンクリートも、月日の経過とともに気温の変化や太陽の紫外線などの影響によって、少しずつ劣化が進んでしまいます。
さらにマンションの外壁は、仕上げ材としてタイルが広く使われていますが、気温の変化に伴うコンクリートの伸縮・膨張によって、タイルとコンクリートの接着力が少しずつ衰えてきます。完成から10年以上が経過したマンションでは、コンクリートの劣化に伴う建物の耐久性の低下や、タイルの剥離・落下などの危険が生じてきます。
そこで、コンクリートの劣化部分の補修、およびタイル剥離などの危険を予防するために行うのが「大規模修繕工事」になるのです。建築基準法の中では、外壁がタイル貼のマンションは、築10年を経過して13年までに外壁の「全面打診調査」が義務付けられています。外壁タイルは専用の接着剤で貼り付けてあるので、月日の経過とともに接着力が弱まり、タイルと下地コンクリートの間に隙間が生じて「浮き」と呼ばれる状態になります。すぐに剥がれ落ちる危険はありませんが、浮きの状態を長期間放置しておくと剥がれ落ちる可能性が高く、万一歩行者に当たってしまったら大惨事になってしまいます。
そこで、建物の耐久性の維持と安全の確保のために、大規模修繕工事の必要性が高くなるのです。具体的には、建物を快適な状態に保つとともに、普段の生活で危険を生じさせないために大規模修繕が行われています。
資産価値向上
上記の必要性ポイント➀と内容は似ていますが、コンクリートの劣化に伴ってひび割れが発生したり、タイルの剥離や色褪せがあったりすれば、マンションの景観を損ねるとともに耐久性の低下を招いてしまいます。
マンションの見た目が悪いうえに耐久性が低下していれば資産価値の低下が懸念されるため、大規模修繕の必要性が高くなるのです。劣化したコンクリートや外壁タイル、内部の劣化・損傷個所を修繕することで、マンションの景観、耐久性、機能性が回復するため、結果としてマンション自体の資産価値の維持向上に繋がっていきます。
時代のニーズ
マンションが完成してから10年・20年が経過したマンションでは、建物に発生した劣化や損傷の修繕だけでなく、マンション居住者や時代のニーズに応じた「バリューアップ工事」の必要性も高くなります。超高齢化社会となった現代において、エントランスなどの共用部分をバリューアップする「バリアフリー化」が求められます。
共用部分で実施する主なバリアフリー化として、以下の項目が挙げられます。
・段差解消(公道と敷地の段差)
・点字ブロックの設置
・玄関部分にスロープを新設
・エントランスに自動ドアを設置
・各所に手すりを設置(廊下、階段、エレベーター内など)
・床のノンスリップ化(滑り止め)
それらの工事を実施することで、マンション居住者がより快適に生活できるようになるほか、高齢者に優しいマンションとして認知されれば、資産価値の向上にも繋がっていきます。
長期修繕計画の重要性
建物を長持ちさせ、マンションに長く快適にお住まいになるためには定期的な修繕や改修を行い、マンションの機能や性能を維持し、向上させていくことが必要です。
大規模修繕の周期は12年が一般的です。マンションの状態に応じた適切な改修計画を立案するためには、マンションの劣化状態を把握する正確な診断が必要です。マンションでは第一回目の大規模修繕を控えた10年目が最初の診断適齢期です。大規模修繕工事の内容は回数(経年)ごとの、劣化具合や修繕具合によって変わります。1回目の大規模修繕工事は外壁を中心に行われますが、2回目は外壁だけでなく、玄関ドアやアルミサッシなど、建物の内側の付属的な部位が劣化している部分も含めて修繕工事を行います。そのため2回目の工事は1回目よりも広範囲になることが多くなります。築後25年目から30年以上経過したころに行われる、3回目の工事では、建物ほぼ全域を対象とした大規模修繕工事が行われることが多くなります。また社会や法律などに基づき、その時代に合わせた設備や部材の更新、耐震補強工事、省エネ化などの工事が付随して行われます。
計画的な大規模修繕が実施されない場合、劣化に伴い費用も増大する傾向があります。適切な診断を実施し、工事を滞りなく行い、費用負担の軽減も視野にいれた計画が必要です。