大規模修繕の進め方!流れを工程別にご紹介

どう進めればいいの?

マンションの大規模修繕は、計画開始から竣工まで年単位の時間がかかる大きなプロジェクトです。初めて行う際は何から始めればいいのかもわからないことでしょう。

また、大規模修繕を行う際に法的に必要な工程もあります。修繕計画について住民に納得してもらうためにも必要であるので、把握しておきたいところです。

この記事では、大規模修繕の進め方を工程別にご紹介していきます。初めて行う管理組合の方も、そうでない方も流れを今一度確認して、スムーズに進むようスケジュールを立てましょう。

目次

大規模修繕の進め方

工程表

大規模修繕は、上の表にもある通り大きく分けて9つの工程があります。これらの工程は大規模修繕の進め方の中で、的確な修繕計画を立てる、住民の同意を得る、また計画通りの工事を行うために必要なものです。

ここからはそれぞれの工程が具体的にどのような内容なのかを詳しく解説していきます。

1.修繕委員会の設置

話し合い

まず始めに、通常の理事会の業務とは別に大規模修繕の計画に関する業務を専門的に行う下部組織「修繕委員会」を設置します。工事内容や予算の審議、調査立ち会い、説明会や打ち合わせの実施など工事全体に関わる業務を行います。

また、修繕委員会に設置義務はないため、通常の理事会の業務の負担を考慮しながら理事会で修繕工事を進めていく場合もあります。

2.発注形式を決定

次に、修繕計画をどのような体制で進めていくかを決定します。具体的には大規模修繕に必要な業務を代行、管理してもらう業者を選定します。

主に四つの発注形式があります。まずは、「責任施工方式」と「設計管理方式」についてです。「責任施工方式」では、施工会社に管理を委託する方法で、修繕工事について豊富な経験と知識を元にした提案を受けられます。「設計管理方式」では、修繕コンサルタントに調査から工事業者の選定、工事監理までを依頼する方法です。この方式では、設計と工事が分離できて、修繕工事を客観的な視点から管理してもらえるので、二重にチェックが行えます。

他には、通常契約している管理会社に委託する方法です。普段から管理組合と接点があり、建物の構造等をすでに把握しているため、スムーズに計画をすすめられます。また、管理組合に大規模修繕に関して知識を有した人材がいるのであれば、管理組合のみで建物調査の立ち合いから修繕計画の設計、工事の監理まで進めていくことも可能です。

それぞれの発注形式にメリット、デメリットがあるので、発注の費用等の問題もよく話し合って進め方を決めていきましょう。

3.建物診断の実施

見積もりや修繕計画を立てるために、建物の設計と状況を正確に把握して修繕が必要な部分を調べる必要があります。調査員に依頼して、目視や専門機器で、構造の劣化状況や修繕の緊急性について調査します。大規模修繕を進めていくにあたって、必要な工事を正確に把握しておくために建物調査は慎重に行うようにしましょう。

4.修繕計画と予算の審議

建物の状態が把握できたら、工事の内容を審議していきましょう。修繕が至急必要な箇所は工事計画に組み込み、劣化の見られない緊急性の低い箇所に関しては現状を維持するための工事に留めるといった工夫で、修繕費用を最小限に、修繕のクオリティは最大限を目指した計画を練りましょう。必要な箇所に絞って修繕すれば、余った資金でバリアフリーの実施や車庫の増築等の住民の快適度を向上させられる工事を行うこともできます。

また、修繕積立金が設定した修繕計画に足りない場合は、さまざまな対処の方法が考えられます。管理組合で総会での合意を得て一時的に積立金を増額したり、融資や補助金を受けることもできます。

5.施工会社の選定

予算や修繕計画の審議ができたら、施工会社を選定しましょう。施工会社を募集する方法はさまざまで、掲示板やメディア、専門紙などを利用したり、コンサルタントと契約している場合は相談しながら募集します。具体的な選定方法として、まず2〜3社に見積もりを依頼し、工事内容や予算、アフターケアの充実度等をプレゼンテーションしてもらい比較検討します。

施工会社とは、竣工後まで続く長い付き合いとなるので、企業としての実績、従業員の経験や質から、コミュニケーションの取りやすさなども考慮して、信頼できる会社を選びましょう。

6.総会にて合意を得て業者と契約

工事の概要が決定したら、総会を開催します。工事の内容、期間、費用、依頼する施工会社等、工事計画について管理組合員に報告し、承認を得ることで、施工会社と契約できるようになります。ここまでの過程で十分に議論はしているはずですが、建物の状況に対応した工事内容であるか、予算は適切か、施工会社は信頼に足るか、などについて再度確認するいい機会となります。

また、組合員の合意をスムーズに得るためには、総会に至る前から管理組合内で報告会や臨時総会を実施して、修繕計画に組合員の意見を取り込んでいくことが大切です。あらかじめクリーンな状態で計画を進めていくことで、組合内の信頼関係に繋がります。

7.工事説明会の実施

施工業者と契約を締結したら、入居者に対して工事説明会を開きます。着工の約一ヶ月前に住民を集めて、工事の内容に加えて工事中の住民への影響を説明して、同意を得ます。ガスや水道の配管、エレベーター等生活に直接関係する部分の修繕を行う期間は生活に影響が出るので、入居者のご協力は必須です。そのため、工事説明会では入居者からの意見も聞いて工事計画に取り入れていくことも重要です。

8.着工から工事進行

工事説明会が済み、組合員や居住者の合意が取れたら、いよいよ着工となります。

修繕が必要な箇所が足場を組んで実際に工事を始めてから発覚する場合があるので、大規模修繕の際は工事期間中も理事会やコンサルタント、施工会社と定期的に打ち合わせを行い、工事の進捗を確認して意見を吸い上げるとともに、工事の変更箇所についても調整を行う必要があります。

また騒音や工事車両の駐在等、居住者や近隣住民に影響のある部分について広報を行う必要もあります。生活への支障は極力抑えるように調整を行うだけでなく、チラシや掲示板を用いて事前に周知しておくことでトラブルに発展する可能性を抑えることが重要です。

9.竣工検査

工事が無事進行し、終盤になると竣工検査を行います。この検査は工事完了前、足場のかかった状態で行われます。施工箇所について、管理組合、パートナー、施工会社で確認を行い、不具合が見つかった箇所は、手直しを行い、完了後に改めて確認を行います。

工事が完了したら、足場を解体する前に竣工検査を行います。工事が図面通り行われたか、不具合はなかったかなどの、最終チェックの役割を担います。もし不具合が確認された場合、即日または後日に補修を行います。この補修にかかる費用は組合負担となる場合もあるので、よく施工会社と打ち合わせをした後書面で契約するようにしましょう。竣工検査が滞りなく行われれば引き渡しとなります。

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